2005年1月23日

去年のザクセン州の議会選挙では、ネオナチ政党であるNPDが、初めて議席を獲得した。彼らは先週、アウシュビッツ強制収容所解放から60年を記念する議会での式典が始まると、議場から退席した。そればかりではなく、ドレスデンを破壊した連合軍の空襲を「爆弾によるホロコースト」とたとえ、英米連合軍を大量殺戮を起こした犯人と呼んだ。

戦後の西ドイツでは、大量殺人をユダヤ人虐殺と比較することは、ホロコーストを相対化することにつながるとして、厳しく禁じられている。NPDは、あえてそのタブーを犯したことになる。ドイツ政府はすでにいちど連邦憲法裁判所にNPDを禁止する申請を行ったが、裁判所で証言したNPDの元党員の中に、憲法擁護庁のスパイ(情報提供者)が混ざっていたために、申請は無効に終わった。このため、法的にNPDを禁止する道は事実上閉じられていると言ってよい。

NPDは、DVUという極右政党との連携を強めて、今年の州議会選挙や来年の連邦議会選挙で躍進することをめざしている。ドイツ人の間には、「NPDなんて泡沫政党で今に消えていくよ」と過小評価する意見が強いが、ザクセン州で有権者の9%がこうしたひどい党に票を投じるという現実を軽視しているような気がする。